カテゴリー「書籍・雑誌」の記事

2007年6月21日 (木)

東野圭吾『さまよう刃』

書評のアップが5冊分ほど遅れております…。
順次時期を分けてアップしていこうと思います。

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本日の一冊は、東野圭吾『さまよう刃』。

蹂躙され殺された娘の復讐のため、父は犯人の一人を殺害し逃亡する。「遺族による復讐殺人」としてマスコミも大きく取り上げる。遺族に裁く権利はあるのか? 社会、マスコミそして警察まで巻き込んだ人々の心を揺さぶる復讐行の結末は!?~出版社からの内容紹介より~

少年犯罪の刑罰の軽さ、犯罪被害者や遺族の感情を考慮しない社会システム、これらの問題を提示しながらも、どこまでも小説にのめりこめるのは、大切な娘を失った主人公の怒りに素直に同情してしまうからだと思います。「自分だったら」という仮定をすんなりと受け入れさせるのは、平易だけどリアルな筆致だからなのかな、説得力があります。

まさに社会派のサスペンスですね。まだ文庫化されていません、「最近の東野作品ということはおもしろいに違いないはず」という期待を裏切らない、軽快につるつると読み進められる、だけど重厚でいろいろ考えさせられる作品です。


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2007年5月16日 (水)

東野圭吾『白馬山荘殺人事件』

本日の一冊は、東野圭吾『白馬山荘殺人事件』。

一年前の冬、「マリア様はいつ帰るのか」という言葉を残して自殺した兄・公一。その死に疑いを抱いた妹の女子大生・ナオコは、親友のマコトと、兄が死んだ信州・白馬のペンション『まざあぐうす』を訪ねた。常連の宿泊客たちは、奇しくも一年前と同じ。各室に飾られたマザー・グースの歌に秘められた謎、ペンションに隠された過去とは?暗号と密室の本格推理傑作。~文庫本裏表紙より~

今から21年前の作品ですね。東野圭吾初期の頃の本格推理モノです。やっぱりちょっと技に溺れている感も否めないですね。推理の謎解きについて、図を使わないと難しくてわからないあたりなんか、まさに「東野圭吾初期」という感じです。そして、常連とはいえ一年前と同じ顔ぶれになることなんてあるんでしょうか??

なんて結構つっこみたくなるところが満載ですが、マザー・グースの歌に謎が秘められていたり、密室があったり、真正の『本格』です。でも主人公は女子大生。コッテリとした本格推理をサッパリと楽しめますよ。


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2007年4月20日 (金)

東野圭吾『むかし僕が死んだ家』

本日の一冊は、東野圭吾『むかし僕が死んだ家』。

「あたしには幼い頃の思い出が全然ないの」。7年前に別れた恋人・沙也加の記憶を取り戻すため、私は彼女と「幻の家」を訪れた。そこは、めったに人が来ることのない山の中にひっそりと立つ異国調の白い小さな家だった。そこで二人を待ちうける恐るべき真実とは……。超絶人気作家が放つ最新文庫長編ミステリ。~文庫本裏表紙より~

怖いですわ。ミステリーであることに間違いはないですが、東野圭吾作品の中では珍しく、ちょっと怖いです。そして、おもしろい。二人は奇妙な家の中で、その家と沙也加の過去を探っていくのですが、続々と謎が湧き出して、スリリングに物語が展開していきます。

Q個人的には正直、並みのホラーよりも怖かったですわ。数年放置され電気もつかない閉鎖空間。確かに誰かが住んでいたようだが、不自然で時間が止まったような家の中。あ~怖い怖い。こんなに怖い小説だと知っていたら、夜みんなが寝静まった時間限定で読んだのに…。(怖い小説は怖い時間帯に読んだほうがよりおもしろいのだ。)

ホラー好きの人にも、ミステリー好きの人にもおすすめです。両方好きな人は、どまんなかです。


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2007年4月 4日 (水)

東野圭吾『あの頃ぼくらはアホでした』

本日の一冊は、東野圭吾『あの頃ぼくらはアホでした』。

ワルの巣窟、悪名とどろくオソロシイ学校で学級委員をやっていた“命がけ”の中学時代。日本で最初に学園紛争が起こり、制服が廃止されたという「有名校」での熱血高校時代。花の体育会系&“似非(えせ)理系”だった大学時代……あの頃みんながアホでした!怪獣少年だった小学生時代から、大学を出て就職するまでを赤裸々に(?!)つづる、傑作青春記。新生「ガメラ」の監督、金子修介氏との巻末特別対談つき。~文庫本裏表紙より~

東野圭吾氏のエッセイ集で一番充実しているのが『たぶん最後の御挨拶』で、その中でもいくつかある“少年~学生時代のバカエピソード”が、本書にはぎっしりと掲載されています。

とにかくなんにも考えずにアハハと笑って読めるエッセイ集ですが、その中で一つだけ『読ませる楽しみ 読まされる苦しみ』というエッセイで高校生の頃に初めて小説を書くまでに至ったエピソードが載っています。これは非常に興味深かったです。

読書も国語もものすごく嫌いだったのに小説家になってしまうなんて不思議ですが、そういう意味ではQも一番嫌いだった作文、特に読書感想文をこうやってブログで書いているのですから、人のことは言えません。なんていいながら、なんとなく東野氏と共通点を見出そうとしているQがいます。。


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2007年4月 2日 (月)

ヨースタイン・ゴルデル『ソフィーの世界~哲学者からの不思議な手紙』

ひさびさの書評!本日の一冊は、ヨースタイン・ゴルデル『ソフィーの世界~哲学者からの不思議な手紙』。

ソフィーはごく普通の14歳の少女。ある日、ソフィーのもとへ1通の手紙が舞い込んだ。消印も差出人の名もないその手紙にはたった1行、『あなたはだれ』と書かれていた。おもいがけない問いかけに、ソフィーは改めて自分をみつめ直す。「わたしっていったいだれなんだろう」今まで当たり前だと思っていたことが、ソフィーにはとても不思議なことのように思えてきた。その日からソフィーの周りでは奇妙な出来事が次々と起こり始めた…。’94ドイツ青少年文学賞、最優秀作品賞・作家賞・出版社賞受賞。~「BOOK」データベースより~

哲学をテーマにしたファンタジーで10年以上前に話題になった小説なんですね。なぜ今『ソフィーの世界』なのかというと、哲学の基本を気軽に楽しく学びたかったからです。

坂本総研の2007年1月1日の記事を見ていただくと2007年の抱負が書いてあるんですが、その中で「今年は日々の出来事や仕事や生活で気が付いたことをもう少し載せていきたいと思います。」と書きました。そんなわけで「仕事とは何ぞや」「働くとはどういうことか」などということを考え始めたところ、実はそれほど簡単でないというがわかりました。なぜか?それらを語るには「人生とは何か」とか「何のために生きているのか」とかそういった根幹の考え方を明らかにしなければならないということに気づいたからです。土台を固めなければその上には何も乗せられないということだと思います。

そういう哲学的な問いに対しては、今までも漠然とした考えを持っていました。しかし、あまり明確にしたことはなかったし、自分の考え方が哲学の世界ではどのような位置づけなのかを考えることもありませんでした。だけどやっぱりこんな風にブログに文章で表そうと思ったら、明らかにせざるを得ないということなんですよね。そこでこの本を思い出したということなんです。

本書は、「あなたはだれ?」「世界はどこからきた?」という二つの根元的な問いから始まります。これらは古代ギリシア時代の哲学のメインテーマであり、ここから長い長い哲学の歴史を現代まで順番に辿っていくことになります。哲学とその歴史が非常にわかりやすく、また物語を織り交ぜながら進行していくので、飽きることなく読み進めることができます。

自分の考え方と照らし合わせながら読んでいくと、「この人の思想はわからん」とか「この人の考え方は納得がいく」とかいうのがいろいろありますが、歴史が現代に近づくにつれて自分の考え方に近くなっていくような気がしました。

哲学のことを語るにはまだまだ勉強が足りませんが、この本を読んで学んだことでまず二つ言えることがあります。
「あたりまえを疑うこと」
「どこまでも突き詰めて考えること」
哲学の基本姿勢だと思うんですが、これは仕事とは何かを語ることにおいても、また仕事を実際に進めるにあたっても非常に重要な姿勢だと思います。そのあたりの具体的な話は今後このブログの中で述べていきたいと思います。これでやっと“総合研究所”っぽくなってくるのではないでしょうか???


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2007年2月23日 (金)

東野圭吾『ある閉ざされた雪の山荘で』

本日の一冊は、東野圭吾『ある閉ざされた雪の山荘で』。

早春の乗鞍高原のペンションに集まったのは、オーディションに合格した男女七名。これから舞台稽古が始まる。豪雪に襲われ孤立した山荘での殺人劇だ。だが、一人また一人と現実に仲間が消えていくにつれ、彼らの間に疑惑が生まれた。はたしてこれは本当に芝居なのか?驚愕の終幕が読者を待っている!~文庫本裏表紙より~

タイトルを見て、「おいおいめちゃめちゃ古典的な本格推理モノかいなー、金田一少年かよ」と思われたでしょうが、実はあらすじをよく見ると違うことがわかりますね。雪に閉ざされた山荘、というのは舞台での設定で、実際は雪なんてないし、電話も通じるし、出て行こうとすればすぐに出て行ける。しかし、途中で外部に電話したり山荘から出て行けばオーディションの合格は即刻取り消しという条件を突きつけられ、七人の役者たちは戸惑いながらも奇妙な“舞台稽古”を始めます。

この作品が秀逸なのは、単なる犯人探しだけではないという点。これは読んでいただければわかります。憶測が憶測を呼ぶ屈折した状況で、誰が犯人かわからない者たちが、互いの裏の裏を読みあうような心理戦。そのやり取りを目の当たりにしてページを繰る手を止めることができませんでした。

終局まで一気に連れていってくれる傑作です。


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2007年2月21日 (水)

東野圭吾『11文字の殺人』

本日の一冊は、東野圭吾『11文字の殺人』。

あたしの恋人・川津雅之が殺された。最近、川津は“狙われている”と怯えていた。そして、川津が大切に持っていた資料が何者かに盗まれた。女流推理作家のあたしと担当編集者の萩尾冬子は真相を探るが……スポーツセンターを通して知り合った川津の関係者が次々と殺されていった!一年前、スポーツセンター主催のクルージングで起きたある出来事に連続殺人の秘密が隠されているらしい。事件の周辺を洗うあたしを襲う黒い影!そして、あたしを待ちかまえていた戦慄の事件!? 11文字に秘められた真実とは!?アッと驚く結末!推理界期待の才能(ホープ)が新感覚で書き下ろした、謎とサスペンス溢れる衝撃の長編推理渾身問題作!~単行本カバー袖より~

本書も東野圭吾氏の、やはり初期の頃の作品。1987年当時の初版第一刷を古本で手に入れました。裏表紙に当時の東野氏の写真が載っているのですが、若い…。しかもあらすじにある「期待のホープ」ってあなた、馬から落馬して腰痛が痛いっつうわけで…。

作品の内容については、殺人が起こる度に、次々と謎が積み重ねられていき、ラストで一気に氷解するあたり、さすが東野氏と言わざるを得ません。純粋なミステリーですね。

最初は『無人島より殺意をこめて』というタイトルにしたかったそうですが、出版社が受け入れず、その文字数を数えて『11文字の殺人』にしてくれ、と言われこのタイトルになったそうです…。この辺りの逸話は最新エッセイ集『たぶん最後の御挨拶』に載っています。


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坂本総合研究所:東野圭吾『たぶん最後の御挨拶』

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坂本総合研究所:東野圭吾『どちらかが彼女を殺した』

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2007年2月18日 (日)

小峰元『アルキメデスは手を汚さない』

本日の一冊は、小峰元『アルキメデスは手を汚さない』。

「アルキメデス」という不可解な言葉だけを残して、女子高生・美雪は絶命。さらにクラスメートが教室で毒殺未遂に倒れ、行方不明者も出て、学内は騒然!大人たちも巻き込んだミステリアスな事件の真相は?'70年代の学園を舞台に、若者の友情と反抗を描く伝説の青春ミステリー。~文庫裏表紙より~

本書は1973年度の江戸川乱歩賞受賞作。なぜそんな昔の作品を?と思われるかもしれませんが、東野圭吾氏が高校生時分に読んで推理小説家を目指すきっかけになった作品ということで、最近復刊されたんですね。

本書は江戸川乱歩賞受賞作のなかではトップクラスのセールス、しかも青春ミステリーという分野のパイオニアとも呼べる作品です。ミステリー部分の楽しさに加えて、青春というか若さというかそういうエネルギーが感じられます。デビュー当時の東野作品を読むと、まさにそれらを継承しているのがわかります。

ところで、やっぱり結構古い作品なので、高校生同士の会話もちょっと時代掛かった感じがして面白かったです。それよりもショッキングだったのが、“日本語が難しい”ということ。普段確かにミステリーのような軽い作品ばかり読んでいるので、元々Qの日本語力も高が知れているのですが、それにしても昔の作品は語彙が多くて奥深さがあります。“ミステリー=娯楽作品”といえどもね。そのかわり読めなかったり意味がわからなかったりの単語もでてきます…。

そういえば以前、恩田陸の『ねじの回転』を読んだときに、二・二六事件の青年将校らが書いた声明文が出てきたんですが、かなり難しい、というか言葉の選び方がすばらしくて、かっこいい。いまああいう文章を書ける人っているのかなぁ。「いまこそ国語を重点的に教育すべき」と主張している数学者がいますが、確かにそのとおりだと最近思います。

ぜんぜん関係ない話になってしまいましたが…。


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↓歴史と時間移動モノが大好きな方には↓
坂本総合研究所:恩田陸『ねじの回転』(上・下)

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2007年2月14日 (水)

東野圭吾『おれは非情勤』

本日の一冊は、東野圭吾『おれは非情勤』。

ミステリ作家をめざす「おれ」は、小学校の非常勤講師。下町の学校に赴任して2日目、体育館で女性教諭の死体が発見された。傍らには謎のダイイングメッセージが!一方、受け持ちのクラスにはいじめの気配がある……。盗難、自殺、脅迫、はては毒殺未遂(!?)まで、行く先々の学校で起こる怪事件。見事な推理を展開するクールな非常勤講師の活躍を描く異色ミステリ。他にジュブナイルの短篇2篇を収録。<オリジナル文庫>~文庫裏表紙より~

またまた短篇集ですが、今度はジュブナイル(児童文学)。東野圭吾氏、改めて言うまでもないですが、手広くいろんな作品を手がけていますねー。

非常勤講師の「おれ」が出会う事件は、一見意味不明な謎の言葉や数字がいつも現れます。子供ならずとも、まるで自分が暗号解読官になった気分になり、パズルを解くような感覚で作品を読むことができます。

短篇集、いいですね。手軽に気軽にささっと読むことができますよー。


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↓思わずニヤリ☆ブラックユーモア満載の短篇集↓
坂本総合研究所:東野圭吾『超・殺人事件―推理作家の苦悩』

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2007年2月 8日 (木)

東野圭吾『超・殺人事件―推理作家の苦悩』

本日の一冊は、東野圭吾『超・殺人事件―推理作家の苦悩』。

新刊小説の書評に悩む書評家のもとに届けられた、奇妙な機械「ショヒョックス」。どんな小説に対してもたちどころに書評を作成するこの機械が、推理小説界を一変させる――。発表時、現実の出版界を震撼させた「超読書機械殺人事件」をはじめ、推理小説誕生の舞台裏をブラックに描いた危ない小説8連発。意表を衝くトリック、冴え渡るギャグ、そして怖すぎる結末。激辛クール作品集。~文庫裏表紙より~

ブラックユーモア満載の短篇集です。ブラックですが決して不快になることなく、各篇の最後には必ずにやりと苦笑してしまう結末が待っています。

収録されている8篇はすべて「超○○殺人事件」というタイトルがつけられていますが、中でもQが気に入ったのは『超理系殺人事件』。これは文理問わず楽しめますが、とくに理系の方は最後に苦笑すること請け合いです。

また、『超長編小説殺人事件』では東野氏の作品のパロディが登場します。(どの作品かは本書を読んでのお楽しみですが、ヒントを出すと高校野球を舞台にした青春ミステリーです。)本筋と関係ないので先に読んでおく必要はないですが…。

文庫なのに字も大きいし、長くないので、さくっと気軽に楽しめますよ。


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2007年2月 6日 (火)

東野圭吾『たぶん最後の御挨拶』

本日の一冊は、東野圭吾『たぶん最後の御挨拶』。

打たれ弱かったら作家になんかなってない。文学賞落選記録15回!――「押し続けていれば壁はいつか動く」と信じ続けた20年の日々。~単行本オビより~

東野圭吾氏の人生全部を振り返るエッセイ集です。今までこのほかに4冊のエッセイ集が出ていますが、本書はそれらに収録されなかったエッセイをほとんどすべて網羅しているんじゃないかという勢いで多数のエッセイが収録されています。

Qは本書のほかに『さいえんす?』というエッセイ集を以前読みましたが、そのときに東野氏の考え方にいちいち共感し、それからさらに氏の小説を好きになっていました。「東野の小説、おもしろいな」と思う方は、小説だけでなくぜひ本書を一読されれば、小説の世界観がより広がるんじゃないかと思います。本書は東野氏の年譜に始まり、自身による全作品紹介や、その他諸々の雑誌で掲載されてきたエッセイがごろごろっとたくさん載っています。おもしろくて一気に読みきってしまいました。

しかしながら、本書のタイトルのとおり、ご本人はこれをもって今後はエッセイを書かない所存とのことです。残念ですが、またいつか再開してくれることを祈りつつ、小説を楽しんでいきたいと思います。


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2007年2月 2日 (金)

海堂尊『螺鈿迷宮』

本日の一冊は、海堂尊『螺鈿迷宮』。

医療界を震撼させたバチスタ・スキャンダルから1年半。東城大学の医学生・天馬は、留年を繰り返し医学の道をリタイア寸前だった。ある日、幼なじみの記者・葉子から「碧翠院桜宮病院に潜入できないか」と依頼を受ける。桜宮病院は、老人介護センター、ホスピス施設と寺院を一体化した複合型病院で、終末期医療の先端施設として注目を集めていた。しかし、その経営には黒い噂が絶えないという。天馬は看護ボランティアとして桜宮病院に通い始めるが、ある時から疑念を感じる。「この病院、あまりにも人が死にすぎる」と……。~単行本オビより~

『このミス』大賞受賞後の第2作目がはやくも登場。受賞からまだ1年経っていないのに、この方どんなペースで書いているのでしょうか。現役の勤務医とのことですが…。

海堂シリーズおなじみキャラクターの白鳥が今回も活躍し、ずーっと話だけ出ていた氷姫も姿を現し(会いたかったよ~)、前2作の主人公の田口も友情出演的に登場し、その他も含めて今回もあいかわらず強烈キャラクターが累々です。

でも受賞後第1作『ナイチンゲールの沈黙』もそうだったんですが、やっぱり大賞受賞作『チーム・バチスタの栄光』には及ばなかったですねぇ。バチスタはおもしろすぎました。海堂シリーズに興味ある方は、まずはバチスタを一読されることをおすすめします。登場するキャラクター群に惚れ込んだ方は、本書もぜひお楽しみください。


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2007年1月31日 (水)

湯浅顕人・田中裕子『ポッドキャストのすべて 』

本日の一冊は、湯浅顕人・田中裕子『ポッドキャストのすべて 』。

今、世界で急速に普及しつつある「ポッドキャスト」。それはブログに音声を入れて配信できるインターネットの新しい活用法。ブログともウェブラジオとも違う、その仕組みや楽しみ方を紹介。 ~「MARC」データベースより~

Qが昨日はじめて配信したポッドキャスティング(本書では「ポッドキャスト」と表記)ですが、なんとなく年始あたりからDJ熱が高まりはじめ、配信に関する解説本がないかなーと思いヨドバシカメラで探したところ、本書が見つかりました。1年近く前の書籍ですが、基本的に技術は変わっていないのでかなり参考にさせていただきました。

本書はまずポッドキャスティングを聴く方法に始まり、番組の作り方、配信の方法を紹介し、最後に応用編としてアフィリエイトで一儲けする夢まで見せてくれる内容になっています。特に配信までのところが丁寧に解説されているので、これから自分でやってみたいという方にはちょうどいい内容になっています。

話は変わりますが、ポッドキャスティングのいいところは番組が自動配信されるところ。例えばiTunesでQの番組を自動配信するには、以下のバナーをiTunesのウィンドウ上にドラッグ&ドロップするだけです。iTunesやiPodをお使いの方はぜひお試しください。

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2007年1月24日 (水)

海堂尊『ナイチンゲールの沈黙 』

本日の一冊は、海堂尊『ナイチンゲールの沈黙 』。

東城大学医学部付属病院・小児科病棟に勤務する浜田小夜。担当は、眼球に発生する癌――網膜芽腫(レティノブラストーマ)の子供たち。眼球を摘出されてしまう彼らの運命に心を痛めた小夜は、子供たちのメンタルサポートを不定愁訴外来・田口公平に依頼する。その渦中に、患児の父親が殺され、警察庁から派遣された加納警視正は院内調査を開始する。小児科病棟や救急センターのスタッフ、大量吐血で緊急入院した伝説の歌姫、そこに厚生労働省の変人・白鳥圭輔も加わり、事件は思いもかけない展開を見せていく……。~単行本カバー袖より~

第4回『このミス』大賞受賞作『チーム・バチスタの栄光』で2006年1月にデビューした海堂氏ですが、はやくもその続編が本書『ナイチンゲールの沈黙 』(2006年10月刊行)。

前作に比べるとミステリー性は少し薄れましたが、ほんと相変わらず濃いキャラクターがわんさか出てきて、登場人物それぞれの物語が面白おかしく進行していくので、本筋よりもそちらの方がおもしろいと思ってしまいました。

“ロジカル・モンスター”白鳥の部下『氷姫』は、前作も本作も話の中に名前だけ出てくるキャラクターで、どんな娘なのかずーっと気になっていたんですが、本作から間髪いれずに2006年11月に刊行された続編『螺鈿迷宮』に登場してくるようです。Qはすでに入手しているので、さっそく読んでみます。


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2007年1月18日 (木)

東野圭吾『卒業―雪月花殺人ゲーム 』

本日の一冊は、東野圭吾『卒業―雪月花殺人ゲーム 』。

七人の大学四年生が秋を迎え、就職、恋愛に忙しい季節。ある日、祥子が自室で死んだ。部屋は密室、自殺か、他殺か?心やさしき大学生名探偵・加賀恭一郎は、祥子が残した日記を手掛かりに死の謎を追求する。しかし、第二の事件はさらに異常なものだった。茶道の作法の中に秘められた殺人ゲームの真相は!?~文庫裏表紙より~

こちらも東野圭吾のかなり初期の頃の作品です。このころお得意の青春推理ものですね。そして東野作品に最も多く登場している加賀恭一郎が最初に活躍した事件でもあります。加賀は現時点(2007年1月現在)で7作品に登場しており、本作品でQは全てを読了しました。

卒業間際の大学生たちの物語は爽やかに始まります。加賀は剣道の学生チャンピオンで、天啓のひらめきと強靭な精神力で事件の謎に挑みます。しかし、のちの作品で見せる加賀の孤独な雰囲気は、このころの体験で培われたのでしょうか。と思わせるくらい、切ないエンディングでしたね。

タイトルになっている『雪月花』ですが、『雪月花之式』という茶道のゲーム的な作法のことをいいます。この作法が一つのトリックになっていたり、他にも推理小説でおなじみの“密室”が出てきたりしますので、本作は本格推理モノでも、青春モノという意味でも、楽しめる作品です。

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2007年1月13日 (土)

平山夢明『独白するユニバーサル横メルカトル』

本日の一冊は、平山夢明『独白するユニバーサル横メルカトル』。

凝視せよ。ここにあるのは宝石だ。生理的嫌悪と、終わることのない暴力の果てに、名状しがたい感動が待っている、異形の物語たち。日本推理作家協会賞を受賞した表題作を含め8編を収録した短編集。~「MARC」データベースより~

2007年版「このミステリーがすごい!」の第1位の作品ということで、思わず手にとってしまいました。昨年の第1位作品が東野圭吾の『容疑者Xの献身』であり、Qの昨年の読書熱、東野熱はそこから始まったものだったので、今年も大きな期待を持って購入しました。意味不明なタイトルと、同じくらい意味不明な装丁が、物語の神秘性を期待させます。書店でもかなり目立っていますね。

ホラー短篇集とのことですが、あまり怖くはないです。それより、紹介文の“生理的嫌悪”という言葉どおり、本書は読者を選びますね。“生きたまま植木鋏で左足指を4本切断する”とか“3日かけて人間1体の死体を食す”とか…、そういうのダメな人は読んじゃダメです。Qも電車の中で、たぶんすごい顔をしながら読んでいたんだろうと思います。

大半は気持ち悪いだけの短篇集ですが秀逸な作品もあって、Qは『オペラントの肖像』と表題作『独白するユニバーサル横メルカトル』が気に入りました。前者は、人間のあらゆる行動を条件付け(オペラント)で規定して統制する未来社会で、条件付けが緩む原因とされている“芸術”の取締官である男の物語。後者は、タイトルだけ見ると意味がわかりませんが、読むと「タイトルどおり」と思うことでしょう。

思いっきり“イッちゃっている”世界を楽しみたい方におすすめします。

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2007年1月 8日 (月)

東野圭吾『天空の蜂』

本日の一冊は、東野圭吾『天空の蜂』。

奪取された超大型特殊ヘリコプターには爆薬が満載されていた。無人操縦でホバリングしているのは、稼動中の原子力発電所の真上。日本国民すべてを人質にしたテロリストの脅迫に対し、政府が下した非情の決断とは。そしてヘリの燃料が尽きるとき…。驚愕のクライシス、圧倒的な緊迫感で魅了する傑作サスペンス。~文庫裏表紙より~

文庫で622ページに及ぶ大作ですが、物語自体は早朝5時頃に始まりその日の15時頃には終結します。そのスピード感と“原発を狙ったテロ”というスケール感により、紹介文どおり強烈な緊迫感が物語全体を支配しています。

その緊迫感を醸成しているもう一つの要因が“現実性”です。現実とのテロが発生するという想定以外は原発の機構や安全性に関する記述が、極めてリアルに説明されています。本書を読み終わったあと、日本原子力開発機構や高速増殖炉『もんじゅ』などのWebサイトを見ましたが、小説に登場する原発は現実に存在する原発をかなり忠実に再現しています。(ただし、本編後の解説も含めて本書には、実在する原発・組織との関連はどこにも記載されていません。「無関係である」という記述もありません。)

小説なのでストーリー自体は当然虚構ですが、作品中に登場する原発推進派と反原発派のそれぞれの主張はこれまでに訴訟で繰り返し行われてきたものと同じで、原発を巡る争いの過去と現在をまとめて見ることができます。ちなみに小説自体は1995年12月の『もんじゅ』ナトリウム漏洩事故の直前(1995年11月)に出版されたものです。

サスペンスとしても秀逸ですが、東野作品中で最もメッセージ性の強い社会派の作品です。リアリティと緊迫感という観点では、東野圭吾最新作『使命と魂のリミット』が気に入った方には特におすすめですよ。

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坂本総合研究所:東野圭吾『使命と魂のリミット』

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坂本総合研究所:東野圭吾『さいえんす?』

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2006年12月29日 (金)

伊坂幸太郎『陽気なギャングが地球を回す』

本日の一冊は、伊坂幸太郎『陽気なギャングが地球を回す』。

嘘を見抜く名人、天才スリ、演説の達人、精確な体内時計を持つ女。この四人の天才たちは百発百中の銀行強盗だった……はずが、思わぬ誤算が。せっかくの「売上」を、逃走中に、あろうことか同じく逃走中の現金輸送車襲撃犯に横取りされたのだ!奪還に動くや、仲間の息子に不穏な影が迫り、そして死体も出現。映画化で話題のハイテンポな都会派サスペンス!~文庫裏表紙より~

軽妙洒脱なセリフ回し、テンポのいいストーリー展開で、小説自体がそのまま映画という感じです。さまざまな得意技を持つ4人が絶妙な役割分担で強盗を完遂するさまは、映画『オーシャンズ11』のようで、思わずお見事!と叫びたくなります。

人気小説ということもありますが、これほど見事に頭の中に映像が浮かぶ作品はなかなかないです。映画化は必然の流れでしょう。4人の強盗はものすごくキャラが立っていて愛着が持てます。4人がそれぞれ主人公である短編を束ねた続編も出たみたいですね。小説でスカッとしたい人は必読です。

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2006年12月24日 (日)

東野圭吾『魔球』

本日の一冊は、東野圭吾『魔球』。

九回裏二死満塁、春の選抜高校野球大会、開陽高校のエース須田武志は、最後に揺れて落ちる“魔球”を投げた!すべてはこの一球に込められていた…… 捕手北岡明は大会後まもなく、愛犬と共に刺殺体で発見された。野球部の部員たちは疑心暗鬼に駆られた。高校生活最後の暗転と永遠の純情を描いた青春推理。~文庫裏表紙より~

青春ミステリの風雲児と言われたデビュー当時の東野圭吾作品ですね。高校野球部員を狙った殺人事件と、とある企業を狙った脅迫事件、2つの事件は関連なく別々に進行していきますが、捜査が進展していくにつれて…。

冒頭、甲子園での試合のシーンが出てきますが、最初の場面でさっそく物語に惹き込まれてしまいます。孤独の天才投手・須田の生き様がカッコいいです。そして高校生たちの心の動きが、『白夜行』の読後感に似た切ない気持ちを読者にもたらしてくれます。

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坂本総合研究所:恩田陸『夜のピクニック』

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2006年12月16日 (土)

東野圭吾『使命と魂のリミット』

本日の一冊は、東野圭吾最新作『使命と魂のリミット』。

十数年前のあの日、手術室で何があったのか? そして今日、手術室で何が起こるのか? 心の限界に挑む医学サスペンス。

笑顔で手術室に入った父は、冷たい骸となって戻って来た。誰も予想していなかった、術中死。さっきまで、あんなに元気だったのに――。それをきっかけに心臓外科医を目指した夕紀は、実は誰にも言えないある目的を胸に秘めていた。その目的を果たすべき日に、手術室を前代未聞の危機が襲う!~新潮社Webサイトより~

最近の東野圭吾作品には本当にハズレがありません。これも最高におもしろかった。序盤から読者の興味をかっさらい、中盤で数々の謎が噴出し溶解し、終盤に向かって緊迫感が最高潮に達します。読み進める手を止めるどころか、早く先が読みたくて行の終わりまで視線を送るのももどかしいくらい、繰り返しますが最高におもしろいです。

上記紹介文ではメインストリームとなる主人公の物語を説明していますが、「前代未聞の危機」を画策する犯人の物語や、犯人を追う刑事の物語が、密接に絡み合いながらストーリーが進んでいきます。サスペンスですがその読後感は、重厚で爽快で、かつ感動的です。これほどの良作を連発している東野圭吾には心から感服いたします。本作も『容疑者Xの献身』に並ぶ傑作といって間違いないです。

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坂本総合研究所:海堂尊『チーム・バチスタの栄光』

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坂本総合研究所:東野圭吾『容疑者Xの献身』

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2006年12月11日 (月)

東野圭吾『十字屋敷のピエロ』

本日の一冊は、東野圭吾『十字屋敷のピエロ』。

ぼくはピエロの人形だ。人形だから動けない。しゃべることもできない。殺人者は安心してぼくの前で凶行を繰り返す。もし、そのぼくが読者のあなたにだけ、目撃したことを語れるならば……しかもドンデン返しがあって真犯人がいる。前代未聞の仕掛けで推理読者に挑戦する気鋭の乱歩賞作家の新感覚ミステリー。~文庫裏表紙より~

上記のとおりちょっと趣向が変わっていますが、親戚一同が集合した屋敷の中で殺人が起きる…なんて結構ベタな筋で、まさに東野圭吾初期の作品という感じがします。最近の東野作品にある重厚さや緻密さはありませんが“ミステリーとは何ぞや”を追究しようとする姿勢が感じられます。純粋なミステリーとして気軽に楽しめますよ。

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坂本総合研究所:東野圭吾『どちらかが彼女を殺した』

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坂本総合研究所:東野圭吾『容疑者Xの献身』

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2006年12月 8日 (金)

東野圭吾『私が彼を殺した』

本日の一冊は、東野圭吾『私が彼を殺した』。

婚約中の男性の自宅に突然現れた一人の女性。男に裏切られたことを知った彼女は服毒自殺をはかった。男は自分との関わりを隠そうとする。醜い愛憎の果て、殺人は起こった。容疑者は3人。事件の鍵は女が残した毒入りカプセルの数とその行方。加賀刑事が探りあてた真相に、読者のあなたはどこまで迫れるか。~文庫裏表紙より~

これは以前取り上げた『どちらかが彼女を殺した』と同じシリーズです。シリーズといってもこの2作しかないのですが、このシリーズのジャンルは名付けて「本格派本格推理」です。探偵役による答え合わせがされないまま物語が終わってしまうんですねー。

でもミステリーとしては秀逸ですよ。3人の容疑者の一人称視点からの語りで交互に物語が進んでいく様子は、『24 -TWENTY FOUR-』などの海外ドラマを見ているような緊張感を覚えます。また、本書は前作同様、読者が推理に必要とする情報を加賀恭一郎が全て引き出してくれます。加賀好きの人にはたまらないですよ。ところが著者もなかなか心憎くて、加賀が物語中盤まで出てこないんですよ。刑事が出てくるたびに、「加賀かっ」って思うんですが、別の刑事なんですね。じらさないで早く出してくれよと初めて思ってしまいました。

Qは前作同様、情報をメモに書き出して整理したりして2時間くらい犯人とトリックを考えたんですが、またまたわかりませんでした。容疑者が2人→3人に増えて、難易度も前作より上がっているので、まあ致し方ないかなぁと思います。しかし文庫本では今回も袋綴じで「推理の手引き」が載っていますので、自信がない方も安心して楽しめますよ。壮大なパズルに挑む感覚で読むことができる小説です。

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坂本総合研究所:東野圭吾『どちらかが彼女を殺した』

↓加賀恭一郎の最新ミステリーが楽しみたい方には↓
坂本総合研究所:東野圭吾『赤い指』

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2006年11月30日 (木)

東野圭吾『手紙』

本日の一冊は、東野圭吾『手紙』。

強盗殺人の罪で服役中の兄、剛志。弟・直貴のもとには、獄中から月に一度、手紙が届く……。しかし、進学、恋愛、就職と、直貴が幸せをつかもうとするたびに、「強盗殺人犯の弟」という運命が立ちはだかる。人の絆とは何か。いつか罪は償えるのだろうか。犯罪加害者の家族を真正面から描き、感動を呼んだ不朽の名作。解説・井上夢人~文庫裏表紙より~

最近東野圭吾にハマり始めたO阪さんから借りました。本作は上記のとおり重いテーマです。ちょうど映画が公開しているようで、映画の宣伝では「ものすごく泣ける」という印象ですが、小説では恐ろしいくらい淡々と物語が進んでいきます。正直に言うとQとしては感動的な気持ちよりも、小説の内容に対して「まあそうだろうなぁ」と妙に納得する気持ちのほうが強かったです。

本作では「人の絆とは何か」というよりも「世間とは何か」というテーマがメインに語られているような気がします。普段何気なく暮らしている社会が実はどういうところなのか。その“社会”には当然自分も含まれるわけです。したがって“強盗殺人”とはまったくもって無縁である大多数の人にとっても、一種の感慨や“気づき”をもたらしてくれる小説です。

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坂本総合研究所:東野圭吾『殺人の門』

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坂本総合研究所:東野圭吾『容疑者Xの献身』

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2006年11月23日 (木)

恩田陸『夜のピクニック』

本日の一冊は、恩田陸『夜のピクニック』。

高校生活最後を飾るイベント「歩行祭」。それは全校生徒が夜を徹して80キロ歩き通すという、北高の伝統行事だった。甲田貴子は密かな誓いを胸に抱いて、歩行祭にのぞんだ。三年間、誰にも言えなかった秘密を清算するために――。学校生活の思い出や卒業後の夢など語らいつつ、親友たちと歩きながらも、貴子だけは、小さな賭けに胸を焦がしていた。本屋大賞を受賞した永遠の青春小説。~文庫裏表紙より~

Qの出身高校には九十九里浜を毎年20キロ歩く「強歩大会」という行事が毎年あります。全校行事なので千人以上の生徒がただただ浜辺を歩くというだけなんですが、新学年が始まってから2,3週間くらいであるので、毎年新しい友達を作るにはちょうどいいイベントでした。一日中歩くので本作のようにときどき女の子と一緒になったり、男だけ数人で歩いたり、あー今思うと本当、青春でしたわ。

本作を読むとそのときの感覚が蘇ってきますね。さすがに最後の強歩大会から10年ほど経ってしまいましたので断片的なシーンしか思い出さないけどね。高校のときは一番もんもんとしていましたねー。女の子と付き合いたい、性欲最高潮、だけど彼女いない。けど、その分のエネルギーを部活やクラスで発散していたんだと思います。特に3年生のときは相当楽しかったなぁ。あのときに自分の人生のうちの大半が形作られたことは間違いありません。

本作はQだけでなく、誰にでもある「そういう感覚」を思い出させてくれます。劇的なストーリー展開も衝撃的なエンディングもありませんが、自分が高校生に戻って80キロを登場人物たちと一緒に歩き通しているようなそんな気持ちにさせてくれる小説です。

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↓恩田陸のディープファンタジーに興味ある方には↓
坂本総合研究所:恩田陸『麦の海に沈む果実』

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坂本総合研究所:恩田陸『ねじの回転』(上・下)

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2006年11月13日 (月)

横山秀夫『第三の時効』

本日の一冊は、横山秀夫『第三の時効』。

殺人事件の時効成立目前。現場の刑事にも知らされず、巧妙に仕組まれていた「第三の時効」とはいったい何か!?刑事たちの生々しい葛藤と、逮捕への執念を鋭くえぐる表題作ほか、全六篇の連作短篇集。本格ミステリにして警察小説の最高峰との呼び声も高い本作を貫くのは、硬質なエレガンス。圧倒的な破壊力で、あぶり出されるのは、男たちの矜持だ――。大人気、F県警強行犯シリーズ第一弾!~文庫裏表紙より~

友人である“まいむ姉さん”にお借りした小説。横山秀夫と言えば映画でもヒットした『半落ち』の作者ですね。

本作は短編集ながら濃密な話ばかりで、力強い筆力に圧倒されました。登場するキャラクターはどれも一癖も二癖もあるので話にどんどん惹きこまれていき、物語は終局に向かってぐぐっと盛り上がっていきます。そして各編ともにラストはかなり衝撃的でついそれらのシーンを何度も読み返してしまいました。

東野圭吾はライトテイストで、プロが作り上げる「That'sエンタテイメント」という感じですが、横山秀夫はどろっと濃いテイストで、迫力のある映像が楽しめます。ミステリとしても上質ですし、(実際はどうかわかりませんが)警察内部の状況を描いた小説としても話はなかなか面白いです。短編ゆえQのような横山秀夫入門者にはベストな入り口かもしれません。

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坂本総合研究所:東野圭吾『天使の耳』

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坂本総合研究所:東野圭吾『宿命』

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